中国語通訳者おススメの一冊!~中級の壁を乗り越える!~

中級への壁

「文章で読むと短いし、たいして難しくないはずなのに聞き取れない。」
「部分的に単語は聞き取れるけど、速すぎて全体が把握できない」

中国語を始めたばかりの方は当然として、
ある程度学習した方の中にもこういった悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?

わかります。

中国語翻訳者・通訳者の私はよくそういった相談を受けますし、
私自身も同じでしたから。

中国語は、まず初歩である発音や声調をマスターするのが一番の難関だとよく言われますが、
ネイティブの話す20文字程度の短文を難なく聞き取るようになれるまでも大きな難関。
ある程度学習した初級の方がぶつかる「中級への壁」なのです。

この壁を超えるのはどうすればよいのでしょうか。
留学すればいい?たくさん中国人と話せばよい?

言うは易し、行うは難しです。

留学は仕事しながら学習していらっしゃる方には無理です。
中国人と話すと言っても、そもそも聞き取れないのに中国人と中国語でコミュニケーションをする気になれますか?

自力でヒアリング力をつけて「中級の壁」を突破することはできないのでしょうか?

自信を持って言います。

あります。

私は留学もしていないし積極的に話しかける性格では決してないけど、
主に参考書を使って勉強した結果、今では中国語翻訳者・通訳者をやっておりますから。

留学未経験の翻訳者・通訳者の勉強法

文章だったら読めるのに、なぜ中国語が聞き取れないのでしょうか?

それは簡単。
中国人のスピードで話すことができないからです。

そのスピードで話せない以上、聞き取ることは不可能です。
ヒアリング力はスピーキング力と比例するのです。

ですから、ヒアリングの訓練にはまず短い文章でもいいから、中国人と同じスピードで話せなければいけません。

私の場合、その訓練は主にシャドウイングという手法を使って行いました。
シャドウイングとは、CDの音声が言うことを同時に言うというものです。
まずは一つの例文を音声に合わせて、慣れないうちは文章を見ながら発話し、
最終的には音声のみでその音声と同時にその例文を発話できるようになるまで行います。
補助的に、紙にその例文を書くこともおすすめします。

その例文に慣れたら、次の例文で同じくシャドウイングです。

舌がもつれて、なかなか中国語が出てこないかもしれませんが、
それは舌や顔の筋肉が中国語の発音に慣れていないからです。
慣れるまで繰り返してください。
筋肉は鍛えれば発達し、それに適した動きをするようになるのは言語も同じなのです。

このシャドウイングを毎日行うことによって、
脳内に生きた中国語の音声のネットワークが作られ、音声情報として脳内に記憶することができます。
つまりヒアリング力向上のための確実な第一歩が踏み出せるわけです。

最初は短い文章のものが良いでしょう。
しかし、付属のCDの音声はネイティブの中国人とほぼ同じスピードで発話するものでなければいけません。
(もし、付属のCDがついていないようでしたら、東京チャイニーズアカデミーのナレーションサービスに録音してもらうのもアリです。ネイティブの方が読み上げてくれるので安心です。)

私が中級への壁に立ち往生し、イラついていた時に手あたり次第参考書を試した結果、
その中で教材として最もふさわしいと思えるものが、スリーエーネットワーク発行の『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法』です。

当書はシャドウイングによって既に学んだ文法事項を総合的におさらいしつつ、表現力の幅を広げることを目的としています。

レベル的には中国語検定やHSK3級以下の方向けです。
私も中国語検定3級を取得した頃にこの本で学習を始めました。

各項は“了”の用法や補語、介詞、副詞、接続詞、反語などの項に分かれ、それぞれ用法別に例文を交えて解説されています。

左側ページには中国語の例文、右側ページには日本語の対訳が記載されていますが、
まずはCDで何を言っているか文章を見ずに聞き取ってみることをおすすめします。

この時聞き取れなかった例文を、シャドウイングによって練習してください。
CDのネイティブの発話を何度も聞くと同時にそれをまねることによって、脳内にその音声を保存するのです。

そうすればその文や、その文に似た発話を聞いた時にも即座に聞き取れるようになれます。
また、その表現も自分のものとすることができるのです。

1000近くある例文は短いものが多く、うろ覚えの文法のおさらいや基礎固めもでき、語彙力もつきます。

当書はシャドウイングに特化した参考書のため、シャドウイングの細かいやり方が書いてありますが、上記の方法でも大丈夫です。

この本での訓練を終えた頃には、短文ならば滞りなく発話できて聞き取れるようになるはずです。

以上はあくまで私の経験を基にしたものですが、
独学によるヒアリング力の向上にはシャドウイングが唯一かつ最も有効な方法であり、
この『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法』はその一助となるに最もふさわしい参考書であると確信しています。

また、本書の姉妹版も多数あります。会話に特化したものや、動詞に特化したもの、はたまた、難訳語に特化したものまで、バラエティ豊かですので、興味のある方は是非、手に取ってみてはいかがでしょうか?





今回、紹介させていただいた『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法』およびそのシリーズは、中級への壁を越えるために肩車をしてくれると言っても過言ではありません。

しかし、その肩に敢えて乗り、壁に手を伸ばしてよじ登るか否かを決めるのはあなたです。

筆者紹介

橋本健太

1975年生まれ、名古屋外国語大学外国語学部中国語学科卒業。
大学時代は中国語専攻であることが嫌で不真面目な学生であったため、卒業に5年もかける。卒業時の中国語レベルは推定で現在のHSK2級、中国語検定4級というお粗末ぶり。
卒業後は中国語から遠ざかり、印刷会社、漫画家アシスタント、建築作業員、図書館資料の整備など職を転々として20代を無駄に過ごす。
運送会社に契約社員として勤務していた33歳の時、普段から何の技能や職歴、彼女も財産もないことをバカにされていた上、同僚と一緒に行った台湾旅行で中国語が全く通じず、「それでも中国語学科卒業か!役立たず!」となじられて一念発起、中国語を再開。
39歳より拘置所の中国語通訳者翻訳者となる。
現在中国語特許翻訳者、通訳者、HSK試験監督。
訳書『中国美術史・大師原典』(中信出版日本)。

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